2019-01-01から1年間の記事一覧

本谷有希子作・演出「本当の旅」

本谷有希子作演出「本当の旅」原宿VACANT、観てきた。これは面白いわ…。終わった後ちょっと立ち上がれない程の衝撃があった。 時流を鋭く刺す、あまりにもエッジの効いた本谷テキストと、多彩な表現技術を売りとする複数の劇団から集められたキャスト陣との…

ラッパ屋「2.8次元」―演劇酔狂の、演劇酔狂による、演劇酔狂のための作品

演劇好きの中でも観巧者たちからの評判が高い「2.8次元」。観てきた。 笑ったー!ミュージカル、2.5次元、新劇、それぞれの「あるあるネタ」や「いかにもネタ」で笑わせつつ、しかし貶めず、異分子どうしの心情や行動原理をきちんと描き、少しの苦味もむしろ…

KERA・MAP「キネマと恋人」―虚構と虚構に支えられながら生きる者たちへの賛歌

観てきた。2016年初演の際には観劇のご縁がなく、今回も半ばあきらめかけていたところにチケットを入手することができて向かった北九州芸術劇場。観劇できたことが恩寵に思えるほどに素晴らしかった。 幕引き後、心の底から夢中で拍手した。昔、生まれて初め…

BACKBEAT感想―「熱狂」の波が寄せる、海辺での別れと永遠の喪失について

BACKBEATみてきた。最高だった。 観劇前の数週間、仕事のことで頭いっぱいで寝ても覚めても仕事のことが頭を離れなくて困ったもんだなと思っていたのだけれど、BACKBEATの1幕冒頭で出演者が軽くダンスするシーンであまりのかっこよさ(男くささと色気)に頭…

「良い子はみんなご褒美がもらえる」考

みてきた。とても難解。役者は健闘していました。堤さんも橋本くんもきれい。きれいにまとまりすぎたかもしれない。 「難しかったなぁ」で終わりたくない性質なので、ほぼまっさらな状態で観劇した私はこんな風に解釈した、というのを記録しておく。ネタバレ…

「トリッパー遊園地」感想―いち演劇ファンの視点から

「トリッパー遊園地」をみてきた。正直いうと、演劇としてあんまり期待はしてなかったんです(ごめんなさい)。でも、思いのほか良作でびっくりしたんで、どこが良かったか書いておきたい。(ネタバレはしてないつもり) 1 脚本・演出の良さについて みる前…

「Le Pere 父」感想

記録しておこうと思ったのに忘れていた「Le Pere」の感想。今更だけど書く。 評判通り素晴らしかった。配役・セットの変化、リフレインを巧みに使って、認知機能に狂いを持つ主人公が体験する日々の世界の混乱と滑稽さを、観客に直接体験させる仕掛けは演劇…